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睡眠時無呼吸症候群

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睡眠時無呼吸症候群

[1]睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome:SAS)は、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる疾患です。
最も特徴的な症状は、睡眠時に「激しいいびき」をかくことです。
一般にSASは、①閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)、②中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)、これら2つの③混合性睡眠時無呼吸症候群の3つに分類され、①OSASが最も一般的です。

  1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive SAS:OSAS)
    睡眠中の筋弛緩により舌根部や軟口蓋が下がり気道を閉塞することが主な原因で生じます(右図参照)。
    上気道の閉塞が原因なので呼吸運動は存在します。
    また、肥満者は非肥満者の三倍以上のリスクがあるとされています。
  2. 中枢性睡眠時無呼吸症候群(Central SAS:CSAS)
    脳血管障害重症心不全などによる呼吸中枢の障害が原因で生じます。
    呼吸中枢の障害が原因なので、呼吸運動が消失してしまいます。
    従って、CSASはOSASよりも重症と見なされています。
  3. 混合型睡眠時無呼吸症候群
    閉塞性と中枢性の混合した病態です。

一般に、SASの中でOSASが84%、CSASが0.4%、混合型が15%を占めるとされています。
また、OSASの有病率は、成人で1-6%、小児で2%程度であり、男女で有病率に差はありません。
全ての年齢階層で起こり得ますが、最も一般的なのは55-60歳とされています。
CSASの有病率は1%以下と見なされています。
SASは決して稀な疾患ではなく、日本では潜在的な患者数は約200万人と推定され、その中で治療が必要な患者数は約30万人と見積もられています。

出典元(赤柴恒人:睡眠時無呼吸・最近のアプローチ 日本内科学会誌 2011;100:1394-1400)

[2]SASの症状

SASの症状として、①激しいいびき、②睡眠時の無呼吸状態、③頻回の中途覚醒、及びそれによる脳の不眠、④起床時の頭痛、⑤昼間の傾眠傾向、⑥集中力の低下、⑦抑うつ、⑧インポテンツ、⑨月経不順、⑩こむら返り、⑪呼吸性アシドーシス等が挙げられます。
SAS、特にOSASに最も特徴的な症状は「①激しいいびき」とされ、通常の一定リズムのいびきではなく、しばらく無音のあとに著しく大きく音を発するという傾向・特徴を持っています。

家族等の同居者がいない場合、SASの発見は非常に遅れるとされています。
また、たとえ同居者がいたとしても、SASに関する情報を持っていなければ、単に「いびきをかきやすい性質」としか認識されず、診断に至らず治療が行われないケースもあり得ます。

特に、自覚症状が弱い場合は誰にも発見されないため、その状態が徐々に悪化して深刻な問題を起こしてしまうことがあります。よくある深刻な問題の実例は、自動車の運転中に強い眠気が発生し運転操作を誤って人身事故を起こしてしまうことです。この様な事故をきっかけにSASの症状を知るというケースもしばしば見られます。
残念ながら、SASが一般社会に認知される様になったのも、患者様が起こした交通事故の報道によるものでした。

[3]SASの危険因子

肥満・家族歴・アレルギー・咽頭扁桃肥大(アデノイド)などが挙げられます。
特に重要なのは肥満であり、OSASにおいては肥満者は非肥満者の三倍以上のリスクがあるとされています。

[4]合併症

SASを未治療のまま放置すると、高血圧高脂血症糖尿病不整脈多血症虚血性心疾患脳血管障害等が悪化し、交通事故・突然死のリスクが増大することが知られています。

[5]SASの診断基準

一般に、米国睡眠医学会が提唱する基準では、「無呼吸・低呼吸指数」(apnea hypopnea index:AHI)5以上、且つ日中の過眠などの症候を伴う際に睡眠時無呼吸症候群と診断すると定義しています。
ここで、「無呼吸」とは「口・鼻の気流が10秒以上停止すること」を指し、「低呼吸」とは「10秒以上換気量が50%以上低下すること」を指しています。また、「無呼吸・低呼吸指数」とは1時間当たりの無呼吸と低呼吸の回数の合計を指します。
なお、AHIが5以上15未満を軽症、15以上30未満を中等症、30以上を重症のSASと見做します。

[6]睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)検査

睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)検査は、SASの診断に決定的な役割を果たします。PSG検査では以下のデータを収集します。

①脳波、眼電図、頤筋筋電図による睡眠ステージ、②口・鼻の気流、胸・腹部の動きによる呼吸パターン、③パルスオキシメーターによる経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)

PSG検査を実施することにより、AHIを測定することが可能で、SASの診断と重症度が一度に判明します。

PSG検査は、携帯型の簡便な装置で在宅検査を行なう場合と、入院して本格的な睡眠時脳波を測定する場合があります。以下に、その簡単な流れを図で示しますので御参照ください。

私の睡眠時無呼吸体験談

医療法人社団桃實会 青和クリニック理事長の高橋輝行です。
かく云う私自身が「睡眠時無呼吸症候群」なのです。
私は、かなり以前より家族から「激しいいびき」や「睡眠中の呼吸停止」を指摘されていました。
比較的長時間の睡眠を取ったにも関わらず、熟眠感がない、朝からスッキリしない、頭痛がある、血圧が高い等の実際の症状も明らかでした。仕事中の疲労感も相当で、特に昼食後には耐え難い睡魔に襲われたりもしていました。この様な状態で、当然「睡眠時無呼吸症候群」を本人も家族も疑っていたわけですが、検査を受けるのが億劫で中々診断には至りませんでした。
しかし、意を決して自宅で可能な「簡易PSG検査」を実施した処、検査は非常に簡便でした。
検査センターから検査キットが自宅に送られて来て、それを装着して寝るだけなのです。
検査が終了したら検査キットを宅配便で検査センターに返送します。
「面倒くさがりの私がこんなに簡単に出来るのだから、患者様にも自信を持ってお勧めできるな」と実感致しました。

さて、数日後、検査結果が送られて来たので見てみるとびっくりしました。
私のAHI(無呼吸低呼吸指数)は何と44でした!
さらに、いびきの回数1時間当たり平均393回で、睡眠時の呼吸停止時間最長で116秒(約2分)にも達していました!
私は「重症」「睡眠時無呼吸症候群」だったのです。
ショック!大変だ!これで素潜りができるぞ、もとい、これは病気なので治療せねばと考え、早速「持続陽圧呼吸療法:CPAP」の処方を受けました。
CPAPはとても簡単な装置で、マスクを装着して眠るだけです。
初めて装着して目覚めた朝の爽快感が忘れられません。個人差はあるでしょうが、日中の眠気や頭痛・疲労感も改善し、血圧も低下しましたので、私はCPAPを開始して本当に良かったと思っています。

旅行先でCPAPで睡眠中の私

CPAPの治療を開始するに当たっては、加湿器をオプションでつけることをお薦めいたします。
そうでないと強制換気によって喉がカラカラになってしまいます。
また、マスクには幾つかの種類があるのですが、鼻のみを覆う「鼻マスク」が主流で、私もこのタイプを使用しております。
「鼻マスク」は小型で着脱も簡単です。またCPAP装置自体も小型・軽量なので持ち運びに便利です。
私も出張や旅行でいつも携行しております。
さて、「鼻マスク」の使用に際しては、必ず口を閉じて眠らなければなりません。口を開けると空気が漏れてしまいCPAP装置がリークを検知して空気を送り込んでくるので、びっくりして目が覚めてしまいます。ですから、口を閉じて眠れない方には「鼻マスク」はお薦めできません。しかし、鼻と口を覆う「鼻口マスク」や、顔全体を覆う「フルフェイスマスク」も用意されているのでご安心ください。CPAP導入時に幾つかのマスクでフィッティングを試してみて、自分に合ったマスクを選ぶことをお勧め致します。
「睡眠時無呼吸症候群」で何かご質問がおありでしたら、気軽に外来を受診してみてください。専門医が「実体験」を基に丁寧にお答え致します。
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